テキストサイズ

息もできない

第24章 過去と現在

「春陽……春陽……っ……」


俺の名前を呼びながら必死で俺を引き寄せる直に、俺は腕を回していいものかと悩んだ

すると直は俺の胸に顔を押し付けながら呟いた


「ーーーー」
「え?」
「春陽の………うそつき……」


その言葉に俺はひどく動揺した

直は涙に濡れた瞳で俺を見つめた


「俺の気持ち、信用してないじゃん………俺が、春陽のこと嫌いになるわけないでしょ。どんな春陽だって大好きだよ。……そんなのも、わかんないの……」


微笑んで、再び俺の胸に顔を埋めた直を俺は強く抱き締めた


情けないな


涙止まらない



「ありがとう、直。……好きだ。好き……」


俺が直の首の後ろを撫でると、直は顔を上げた


こうすると顔を上げるのが二人だけの合図みたいで、嬉しい


濡れた目元を指で拭うと恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに直は笑った


可愛い
可愛い


「直、愛してる……」


俺が言うと直は俺の頬を流れていた涙をキスで拭った


「俺も、春陽のこと愛してる」

「何があっても離さない」

「うん。離したら許さないから」


額に、頬に、鼻に、瞼にと順番にキスをして
最後に唇に優しくキスをした

ストーリーメニュー

TOPTOPへ