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息もできない

第25章 息もできない

小鳥の囀る声が聞こえる
清々しい朝


「ん……」


俺が窓から差し込む障子越しの柔らかい朝日を受けて目を覚ますと、目の前にはすでに目覚めていた愛しい人の顔があった


「おはよう、直」


とキスされて、俺も挨拶とキスを返す


「今何時?」
「8時過ぎくらい」
「春陽は何時に起きたの?」
「さぁ、何時かな」


そう言って微笑む春陽からは、早くに目覚めていたような感じがする


「起こしてくれれば良かったのに」
「だめだよ。直の寝顔が見られるチャンスを逃すわけにはいかないから」


それを聞いて湧き上がったのは羞恥心じゃなくて


「悔しい……」


俺がそう言うと春陽は可笑しそうに笑う


「何で悔しいなの?」
「だって……俺だって春陽の寝顔見たい」
「普段先に起きるのは直なんだから見れるだろ?」
「そうだけど」
「けど?」


俺は少しはだけた春陽の浴衣の胸元に顔を埋めた


あぁ、春陽の匂い
安心する


春陽は俺の頭を優しく撫でた


「直?けど、何?」
「けど……」


俺は春陽の顔を首だけを動かして見た


「春陽の顔はどれだけ眺めてたって飽きないから」


というか、どれだけ眺めても足りない

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