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息もできない

第25章 息もできない

「でも、男に一目惚れなんて簡単にするものなの?」


俺の言葉に春陽は微笑んだ


「それは関係ないよ。直が男だろうが女だろうが、惚れるものは惚れる。その時がどんな状況でも、ね」


性別は関係ない、のか


俺が撫でられた頭に心地よさを感じながら考えていると、今度は春陽が


「直は?」


と聞いてきた


「ん?」
「直は、付き合ったの俺が初めてだったみたいだけど、もともと男が好きだったの?」


確かに俺はお付き合いをするのは春陽が初めてだけど……


「ううん。別に男の人がもともと好きだったとか、そういうことはないと思う」
「好きな女の子がいた?」
「んー……気になる、ってくらいはあったかな」


俺が言うと春陽は「妬けるね」と言ってから「じゃあどうして俺のこと好きになってくれたの?」と聞いてきた


俺は慎重に言葉を選びながら答える


「春陽の自分を信じて欲しいって言葉が俺を救ったから」
「俺の言葉?」
「そう。……俺、最初は当然のことながら春陽のこと信用なんて出来ないって思ってた。昔の、友達に裏切られたこととかが情けないことにまだ吹っ切れてなかったから」


春陽は黙って俺の話を聞いてくれてる

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