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息もできない

第25章 息もできない

「見る、けど」


俺が言葉を濁すと春陽は俺の頬を指でいじってきた


「うにゅ」
「何?何か不満?」


そう言って春陽は俺の口を春陽のそれで塞いだ


「だって他のところだとこういうこと出来ないよ?」


一瞬言われた言葉を理解出来なくて固まってしまったけど


確かに


「そうだね!」


俺は破顔して春陽にもっと、と続きを強請った


散々キスして、続きは家に帰ってからねと言い合って
俺たちは愛を誓い合った小さな教会を後にした


お互いがお互いに触れたい気持ちを抑えているせいか、車の中はほとんど無言に近かった

エレベーターで上がる時間も惜しいほどだったけれど、ここで触れてしまっては我慢できなくなってしまうとわかっていたからそれでも無言で

鍵を開け家の中に入って、キスを交わしてようやく


「ただいま」
「おかえり。ただいま」
「おかえり」


と微笑み合いながら言葉を交わした


もつれ合うようにベッドに向かいながら服を脱がせあって、ベッドではお互いの愛を確かめ合うように濃厚に、それでいて優しく肌を触れ合った


白い底なし沼に落ちていくように深くゆっくりと眠りについたのは日が昇りかけてからだった

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