テキストサイズ

息もできない

第25章 息もできない

差出人:谷口 直
宛先:三浦 春陽
件名:10年後の春陽へ

携帯を弄っていたら偶然こんな機能を見つけたから、今こうしてメールを10年後の春陽を想像しながら書いています。

10年後、俺はもう40歳も目前に迫って、もしかしたら見た目も随分酷くなっていたりするのかな。でも、春陽は今よりもっと格好良くなってるだろうから、そう思うと自分の容姿はどうでもいいから早く10年後へ行ってしまいたい気持ちになるね。

だけどね
人生は短いから、やっぱりゆっくり歩いて行くことにします。


ねぇ春陽
俺はまだ春陽の隣にいる?
まだ春陽に愛されてる?


見えない未来には不安ばかりがあるようだけれど、春陽とならそれも楽しみながらゆっくり時間を過ごしていけるよね。

ゆっくり時間をかけて、1つになっていこう。

記憶も過去も、未来も
全部溶かして、混ぜて、1つになろう。


そしたらずっと一緒に居られる。
いつか死んでしまっても、ずっと。


そうしないと生きていけない。

愛してるよ、春陽。


俺はもう春陽がいないと

息もできないんだから。


これからもよろしくね。
10年分の、ハッピーバースデー

ストーリーメニュー

TOPTOPへ