片想いの行方
第25章 動き始めた感情
「………!」
ドクっと心臓が鳴る。
優香は俺から手を離した。
「蓮が部活でいない時、姫宮くんから何度も誘われてるの。
…寄りを戻したいって。
これからは、無理矢理しないし、優しくするからって。
……私は蓮が好きだし、ヒメの目は怖いから断ってるんだけど。
……蓮が傍にいてくれないなら、もう仕方ないよね…」
優香の体が僅かに震え始める。
俺はその肩に手を触れた。
「……待て。
ヒメが優香に会いにきてるの?」
「そうよ」
「……っ なんで俺に言わないんだよ」
「だって、蓮は水泳で忙しいじゃない。
迷惑かけたくなかったから」
優香は、俺を真っ直ぐに見て、低い声でそう言った。
…頭が混乱する。
ヒメ……
やっぱりあいつは諦めてなかったのか………?
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