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片想いの行方

第37章 ひとつだけの宝物


俺はため息をつく。



「……100歩譲ってそうだったとしても、関係ないよ。

今さらどうってことねーだろ。

お前は蓮だけ見てればいいんだし。

俺は別に美和に興味は……」



「じゃあ、どうしてキスしたの?」



美和は、俺の目を真っ直ぐ見て言った。




「………………!」




「課外授業の時も、花火の日も。

図書室の時も………。


あたし、ヒメの本心が分からなかった。


ヒメがあたしにキスする度に……胸がドキドキして、体が熱くなって……


自分の気持ちが分からなくなっちゃったの」




美和は、涙で顔をくしゃくしゃにしながら、堰を切ったように話を続ける。




「……ヒメに見つめられると、あたし、その目に吸い込まれそうになってた。


口が悪くて、意地悪で。


あたしのことからかってばかりで。



……なのに、時々すごく優しかったから……



去年、並木道のところにヒメが来てくれて




1人で泣くなって言って……抱きしめてくれた時……





言えなかったけど






本当はすごく、嬉しかったの………」

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