
片想いの行方
第37章 ひとつだけの宝物
俺はなるべくいつも通りの口調で
自分にも言い聞かせるように、美和に話した。
……途中から、声が震えていたのを
美和が気付いていないことを願って。
「…ほら、立てって。
1人で行くのが怖かったら、俺も一緒に説明してやるから」
美和の両腕を抱えて、2人で立ち上がった。
あーあ…… こんなに震えちまって……
俺たちの体は、冬空の下に居続けたことで、すっかり冷えていた。
「俺の頬も、美和の目も。
冷やす必要なんてねーな。
風邪引く前に早く中に………」
その時
「…………………!」
美和が、俺の胸に顔を埋めた。
小さな手で、俺の服を掴んで、全身を俺に預けてくる。
「…………美和………?」
