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片想いの行方

第44章  『元気だよ』



『てゆーかさ、ヒメは美和が会社の本部にいる事も覚えてたんだね。

勤めてから全然逢ってなかったんでしょ?』



「うん……大学を卒業する時にお互いの就職先を報告し合っただけだったような……

もう5年も前だから、あんまり覚えてない」





白い息が、暗い夜空に舞い上がる。



夜の11時を過ぎて、一層冷たい空気が漂っていた。











………高校を卒業した後。





ヒメ

蓮くん

アンナ

そして私の4人は、それぞれの道で新たな人生を歩み始めた。




同じ高校で、3年間の時を共にした私達でも




違う大学に通い、新しい環境で様々な出会いを繰り返していくと




実家も近く同じ都内にいるにも拘らず、逢う機会は自然に減っていった。




それぞれの流れる時間が違うだけで




こんなにもあっけなく人は離れてしまうのなんだと、最初は寂しく思ったりもしたけれど




学生時代が終わり、社会で仕事をするようになってからは




忙しくて、そんな事を考える時間さえ無くなっていた。

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