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片想いの行方

第51章 制裁



「世間知らずのお坊ちゃんに教えてやるけど。


医師の診断書っていうのは、公式の書類であって、ちゃんと病院に控えがあるんだよ。


会社の人間を騙す為に、いくら改ざんしても意味ねーの」




……改ざん?




「だいたい、単なる捻挫をよくそこまで引っ張れたな。


休む為の診断書だけど、上の人間には見せないように口止めでもしたんだろ。


呆れるくらいうまくいってる。


会社にコネがきく立場のあんたにしかできねーわけだ」





……単なる捻挫?





「………まぁ、他にも言いたいことは山程あるけど」





ヒメはそこで一旦話すのを止めると



放心する私の方に振り返った。





「美和。


こいつの怪我は、とっくの昔に治ってる。


美和を騙し、あらゆる方面に嘘をついて


ここまで甘い蜜を吸って来たんだ」







そして、ヒメは低い声で続けた。







「お前の2年分の苦しみが、少しでも癒えるように





“ 俺達 ” が今から仕返ししてやるよ。





………制裁は、まだ始まったばかりだ」

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