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片想いの行方

第53章 彼の心




「あ~もうっ 可愛いなぁ♡」



麗子さんはもう一つの手で、くしゃっと私の頭を撫でる。



「お安い御用!
本当はバリカンでも使ってツルッパゲにしたいところだけどね!」


「…あんまり泣くと腫れるわよ。
明日も普通に仕事なんだし、いい加減泣き止みなさい」




またそーやって冷たい態度するんだから~っと、麗子さんが優香さんに向かって話す。


2人は、全てを分かっているかのように、それ以上私には何も聞いてこなくて



その優しさが伝わって、私の涙はさらに止まらなくなってしまった。





………ヒメは、私を見て少しだけ微笑むと



そのまま外に目線を戻した。




………ヒメ………



私の願いを、本当に叶えてくれるなんて………



何も言わない彼の後ろ姿を見ながら、私の心臓は壊れたように鳴り続けていた。





………………………………………………



エレベーターが1階について、ロビーを抜けようとしたその時




「美和ちゃん!」



大きな観葉植物の向こうから


目に涙を溜めた奈々さんが走ってきた。




「……奈々さん………」


「良かった……!
今、ヒメくんからメールが届いて……

って……!?
モ、モデルのREIKO…………!?」




私に駆け寄った途端、奈々さんはギョッとした顔で隣りをみる。




「どうも~♡
そこにいる弟がいつもお世話になってます」


「……お、弟!?」



麗子さんがニッコリと微笑むと、奈々さんは頭をクラクラさせた。



「……ヒメ君のお姉様……

……REIKOの弟……

そう考えたら納得だけど………

す、すごい遺伝子……」


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