
片想いの行方
第59章 弱さと痛み
▼Side... 蓮
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『……おい、起きろ。 始発出るぞ』
ヒメは軽く叩いたつもりだろうけど、割れる程の衝撃がガンガンと頭を鳴らす。
『……痛ってぇ……
……いつの間に朝……他の奴らは?』
『誰もいねーよ。
つーかここ居酒屋じゃねーし』
『………どこだよここ………』
大学から近いいつもの居酒屋で飲んでいたはずが、
気付いたら全然知らない交差点の隅に倒れていた。
腕時計の針が早朝5時を指している。
ふらふらと歩き出したヒメを見て、俺も地面から起きて立ち上がった。
『はぁ……結局これだよ。
なんで最後はいつもお前と2人になるんだ』
『誰も俺の酒のペースについてこれねーんだよ。
情けねーな』
『…ヒメ、お前じゃない。 俺だ』
『アホ。 先に潰れたのは蓮だろ』
二日酔いが酷過ぎて、いつもの言い合いでさえ疲れてくる。
学部もゼミも、サークルだって違うっていうのに
高校時代に引き続き、俺とヒメは結局4年目もつるんでいた。
『そんなことより蓮、早くあの女の清算しろよ。
このままだと入社する前に刺されるぞ』
『てめーの周りにいる女達と一緒にするな。
人の事心配してる場合か』
俺がため息をつくと、ヒメは隣りでニヤニヤと笑い出す。
『口悪いね~蓮くん。
あんなに硬派硬派って宣伝してたのに、無駄だったな』
『そうは言っても、俺はお前みたいにとっかえひっかえなんてしてねーから』
『でも、俺の周りの子はみんな巨乳で可愛いぜ?』
『いや、俺の周りの方が断然上だ』
暫く無言で歩いた後
俺とヒメは同時に口を開いた。
『『でも、美和が1番可愛い』』
