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片想いの行方

第59章 弱さと痛み


快感と同時に、空しさにも似た痛みが押し寄せる。




自分の真の想いに気付き、あるがままの心で美和に伝えたけど




抱きしめているのに、傷つけているような錯覚に陥る。







「……好きだよ、美和……」





揺れている彼女の口から、その答えが聞けないのは分かっているし


自分でも告げたように、いつか俺の事だけを見てくれると信じているけど



……こうして想いを言葉にしないと、美和が消えてしまう気がして、俺は怖くて堪らなかった。











…………ヒメ…………





いつか、お前が俺を許してくれる日が来るのだろうか。






俺にとって、ヒメほど心を許せる友人はいない。



美和と別の環境になり、どこか吹っ切れた俺達は、出会った頃のような親友に戻れた気がしたんだ。




だけど




その関係を簡単に壊してしまうほど、俺は美和を愛してしまう。





ヒメの強い想いを知りながら


美和の心情を分かっていながら


欲望を抑えられない、自分の弱さ。









「………蓮くん…………」








美和の手が、俺の頬に触れる。



息を整える美和の顔に、またひとつ、滴が落ちて消えていった。








「………蓮くん



………泣かないで………………」

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