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不器用なくちびる

第10章 別離

それからの毎日は
忙しいけど本当に楽しくて…
私は吉井くんの知らなかった一面を
いっぱいいっぱい見た。

思ってた通り、明るくて優しい人…

全体練習の無い放課後は、
音楽室で2人で過ごした。
初めはドキドキして死んじゃうかと
思ったけど、吉井くんがおもしろい
ことばっかり言ってくれるから
緊張もどこかへ飛んでっちゃうんだ。

一度、吉井くんのことが好きらしい
女の子たちから文句言われたりした
けど…なぜかすぐに収まった。


「おとなしそうな顔して
ヤリマンなんだって?
汚い手で吉井くんに触らないでよね。」


傷付いたけど…
それは言われた内容より、
やっぱりそんな噂があるんだって
ことだった。
吉井くんも知ってるのかな…

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