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不器用なくちびる

第10章 別離

…………………

とうとう文化祭が終わり、
最後のホームルームもあっけなく
終わってしまった。
自分で決めたことだけど、
別れを惜しむ相手がいないということ
がとてつもなく寂しい…

未練を振り切るようにひとり音楽室へ
急ぐと、吉井くんが待っていた。

これで終わり…
最後に吉井くんと2人で話せるなんて
それだけで幸せだよね。

春菜ちゃんの怪我はほんとに気の毒
だけど…神様…ちょっとだけ
感謝してもいいですか?


「…ありがとな。おつかれさん。」


「吉井くんもおつかれさま。
大成功だったよね!
ずっと練習付き合ってくれて
ありがとう。
春菜ちゃんの代役、
無事に果たせて良かった。」


「…そのことで話があるんだけど…
香山、ほんとにあいつが
ケガしたって思ってるの?
…香山は…イギリスに行くんだろ?」

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