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不器用なくちびる

第11章 未来

…ひとしきり泣いて、少しすっきりした
私は、灯台の下に降り、橘くんと二人で
石を隠した場所を探し始めた。

橘くん…みんなと離れてから、橘くんの
ことを思い出すことが一番多いよ。
なんでかな?
許せないことをされたはずなのに…
好きな人は吉井くんだったのに…

あなたは
好きな人とちゃんと恋愛していますか?
私とは違い、ちゃんと心が求める人と
身体を繋げていますか?
あれだけ優しくて素敵な人だもの。
きっと素敵な彼女がいるんだろうね。


…えっと…石…石…
あれから4回の夏が過ぎて…
普通ならあるわけないけど。

あ…あった…!
こんなことってあるの?!
しかも重なったまま!
もしかして他の人の?

二つに重なった石。
確かにあの日のみたいだけど…
だとしたら奇跡だな…

あれ?
他にも一つだけの石が。
1、2、3、4つ…
何気なく一つを拾い上げてみて
私の心臓は大きく音を立てた。

目に飛び込んできたものが
自分の名前だったからだ。


〝香山がイギリスで頑張れるように〟


何これ…?
震える手で残りの三つを裏返す。


〝香山が元気でいますように〟


〝香山が笑顔でいれますように〟




〝香山にもう一度会えますように〟

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