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不器用なくちびる

第14章 背徳

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土曜日、私はある決意を固めて
いつものカフェに向かっていた。

この気持ちを伝えちゃいけないって
ずっと思ってきたけど…
橘くんにちゃんと気持ちを言おう。

内緒で会っている時点で
もうダメだよね。
ちゃんと気持ちを伝えて、
もうこんな風に会うのは止めるんだ…


「おはよう」


いつもの席に向かうと、橘くんは
すでに紅茶を飲みながら本を読んでいた。
白いサマーニットがよく似合っている。

彼のたくましい胸を、腕を、
その素敵な横顔を…
こんなにもドキドキしながら
見つめてる私は…
もう親友なんかじゃない。
終わりにしなきゃ…

いつものように雑談をしながら
ランチを食べ、その後話を切り出した。


「橘くん…話があるの。
私もう耐えられない…橘くんを…」


「ごめん、香山…ストップ。
言わなくていいから…
勝手なこと言ってるって思うけど、
何も訊かないで…
もう少しだけ待ってくれないか?」


「橘くん…私まだ何も言えてないよ…」


「そうだよな。ごめん…
でもお前の考えてることなら
わかるつもりだよ。
もうあの時みたいな子供じゃない…
もう2度と間違えたくないんだ。」

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