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不器用なくちびる

第2章 呼出

「はい」


「…香山?…俺、橘だけど…」


……………………橘くん⁈何で…

正直迷惑だと思った。
橘くんは全部見ていたと思うから。
私のこと…

みんなの前で足をいっぱいに
広げられた自分の姿が蘇って来て
足が震えた。


「…何…かな?」


「香山が休んだって聞いて…」


「…」


甘い声。優しい話し方。
これが違う状況だったら
ときめいてしまいそうだけど。
今の私は無性に腹が立ってきた…


「今更いい人ぶらないで…!
見てた人だって一緒だよっ
私はもう顔も見たくない!」


橘くんから声が返って来ることは無く。

いつの間にか家の前から消えていた…

お母さんが買い物に出てて、良かった。

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