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不器用なくちびる

第22章 【椎名 16才】

何だか野菜がいっぱい入った
味噌汁を飲みながら桧奈を盗み見る。

俺と同じくらい背が高く短髪で、
後ろから見るとまるで男みたいだ。
そして細いけど筋肉の付いた身体。
キリッとした整った顔はしてるけど…
正直俺のタイプじゃねえな。

それに正義感が強くて、思ったことは
ハッキリ言う面倒臭え女…

あんたは俺には眩しすぎるよ。

……………………

部屋に戻ると携帯を開き、
連絡を寄越してくる女たちからの
メールを順番に見た。

今日はこいつにするか…

俺は相変わらず、くだらねえ女たちと
ヤることで満たされない気持ちを
やり過ごしていた。

いや、生き甲斐なら見つけた。
俺はおやじさんみたいな
立派な椅子職人になりたい。
桧奈だっていつか追い越してやる…

俺がやり過ごしてるのは
香山への想いだ。
あいつへしたことを心で詫びながらも
あいつに出来なかったことを
他の女を身代わりにしてヤってる。

生き甲斐なんて見つけても
腐った奴はいつまでも腐ったままだな…

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