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夏のシュークリーム

第3章 賭けには勝てたから

いつもの、学校の図書室。
松井が、溜まって山になった返却本の処理をしていると、彼女が現れた。

「こんにちは」
いつものように挨拶を交わす。

「新刊入りましたよ」
いつもの、生徒と、図書の先生としてのやり取り…しかし何故だろう、今日はどこかおかしい。

いつもならそのまま行ってしまう彼女が、いつまでもカウンターの前を離れない。それどころかカウンターを越えて、こちらに迫ってくる。

園田さんがこんな大胆な事をするなんて…スカートの中がチラリと見えたりして、ちょっと高ぶる物が…じゃないっ!ここは学校なんだっ!!ちゃんと注意して…

言葉を発するより先に唇を奪われる。

…園田さん 

しかし、唇を離し目を合わせた次の瞬間、松井は悲鳴をあげた。

「!次郎さんっ…!?!」

咲のものだと思った唇が、いつの間にか次郎の物に変わっていた。

「残念だったねぇ。咲ちゃんは君より抹茶が好きなんだって」

いつもの憎たらしい笑顔。
「けどそれじやあ、あまりに君が可哀想だから…」

「え え えーっ!!」

床が突然緑色になり、部屋中の本が次々と渦を巻いて飲み込まれていく。

「たろちゃんを抹茶にしてあげる」

次郎が小悪魔スマイルで遠くへと消えていく。

「何 馬鹿な事を言っているんですかっ!…!!うっわーーっ!!」


勿論夢。

松井が目を開けると見慣れた天井がそこにあった。

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