テキストサイズ

殺人鬼の棲む島

第23章 3日目 夜 黒鵜館すまいるの部屋

手帳はほぼ新品のままで何も書き込まれていなかった。

「なにこれ……」

すまいるは一丁前に手帳を買うが、そこに書き込む癖がなく、一年経ったら思い出したように鞄から取り出して捨てて、新しい手帳を買うという特異な行動をする人物であった。

そんなことを知らないソラはがっかりしながらもぺらぺらとページを捲っていく。

「あっ……」

三月の欄に、奇跡的にメモが走っていた。

一行。

それは迎えの船が来る時間だった。


午前10時、迎えの船。


その一行は価千金のものだった。


帰りの船はちゃんと手配されている。
まだ五日もあるが、船が来ないという最悪のシナリオだけは回避できた。

遥風も京茶屋もその一行には安堵の表情を浮かべていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ