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エール

第1章 リーヴル

「う、うわっととっ...!」


本まで後少しで手が届く、というところで梯子がグラグラ揺れだす。


「うわわわわっ...!」



片手で支えようと試みるも、余計に揺れが酷くなっただけだった。


...ここから落ちたらッ!


小さい頃の記憶がフラッシュバックする。



あの時よりも高いし、3針じゃ済まないかもっ!?



必死でしがみついたが、だんだん梯子は本棚から離れていき...............。



あぁ、落ちる......。




ガッ...!



ん?



覚悟していた衝撃はこずに、落下も止まったようだ。



固く閉じていた目を開けると、また元の位置に戻った梯子と、天井が目に映った。



「あ.....................れ?」



何度か目を擦って見ても、状況は全く変わらない。



というか、私今...........................。



地面に足が着いてない。


何で!?

もしかして私死んじゃったとか!?それで幽霊になった...........................な訳ないよね。


落ち着け私。




必死に状況を理解しようとする私の頭の上で、笑い声が起きた。



「誰って....................................えぇ!?な、中井君!」




私は、どうやら和希君に所謂お姫様抱っこというものをされているようだった。

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