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溺れる電車

第7章 再び


1年ぶりだ――――


この駅に降りるのも。



あの時と同じ階段の近くの車両を待つ。




優人の顔を思い出し、探す。




やっぱりね。



1年もたつんだもん。




いるわけないよね…。





きょろきょろするのをやめ、いまの現実を信じた。



うん、でも。



もう、諦められる。




目から、一粒の雫が零れ落ちた。



でも、私は、少し笑った。




飽きられられるなら、



いいよね…。



その涙を手でふく。




でも、せっかくだし、電車には乗ろ。




「電車が参ります」




あの時と変わらぬ、アナウンスが響く。



ぴゅーっと冷たい風が吹く。

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