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♡*:。.rena's world story.。:*♡

第18章 ★交代

「……ご、ごめん、ヒメ。
あたし美和さんに謝……」


「連絡してくるのが遅せーんだよ」




一気飲みした缶ビールをパキっと潰して


ヒメはポケットからハンカチを出して、あたしの膝の上に放り投げてきた。




「クソ真面目に考える性格のくせして、こーいうときだけは突っ走る。

………泣く前に、頼れよ」


「…………っ」


「1人で抱え込むな。

これでも……お前の気持ち、少しは分かってるつもりだ」




いつもの声のトーンに戻ったヒメが、あたしの方に体を向けたけど


……止めたはずの涙が、意思に反して溢れてきてしまって


その優しい眼差しを見る事が出来ずに、あたしはヒメから目を逸らした。





「ヒカル、俺を見ろ」

「……嫌」

「俺は、お前に……」

「だってヒメはもう願いが叶ったじゃない!」




与えてくれたハンカチに、手を触れることができず


ぎゅっと目を瞑ったまま、あたしの口は勝手に動く。




「早く美和さんの所に戻って!

好きな人が、自分を好きになってくれるって……本当に奇跡なんだよ。

その奇跡を、どうして大事にしないの!?」


「………ヒカル」


「人の事気にしてる場合じゃないでしょ。

ちゃんと……大切な人のことだけ考えなよ!」

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