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「…………」



あの人気アニメの、四次元ポケットから道具を出した時のように

両手を上げて高らかに宣言をした私を、莉央は無表情で見つめた。



「ねぇ、どう！？
おばさんと翔ちゃんとお嫁さん、私達の計５人で一泊旅行！」

「…………」

「近場ならまだどこか予約できると思うし。
おばさんを癒す為にも、美味しいゴハンと温泉でもいいし♪
あ、でも夏だし暑いか～」

「沙月」

「翔ちゃんもお嫁さんも土日休みだったよね？ それなら……」

「俺、仕事なんだけど」



………え？

仕事？

あなた営業マンでしょ？



「連休なのに？ またクレーム対応？」

「……新宿店のリニューアルオープン。
連休初日の土曜だろ」

「……新宿……」

「俺は優待提携先の対応。
店舗開発の “ 誰か ” も、連休中に出るって聞いたけど」




………そうだった。


妄想の世界から、一瞬にして現実に引き戻される。


平日の改装期間に、芹澤さんが現場に出るから


その代わりに私がオープン初日に立ち合うことになってたんだ。


また私が休日出勤かよ！って思ったけど


莉央のお蔭で毎日が楽しいから、快く了承しちゃったんだよね。