仰せのままに
第4章 可憐様。
「…こ、真子!」
「あ、はい。」
「イヤホン、取れてるよ。
疲れたなら、部屋戻っていいよ。」
「あ、いえ。ちょっと考え事を。」
「そ。しっかりしてね?」
はぁ。
声にならなくて吐いた息を、
そのまま、吸い込んで、歩き出すと、
ほのかに、服に抵抗を感じた。
振り返ると、微かにストロベリーの香りがして、
同じ位の、長い髪が見えた。
「あの、探検してたら、迷っちゃって…。」
うるんでる目は、元々か。
「案内、お願い出来ますか?」
首を少しかしげて、伺う姿は、
きっと、和也様のタイプ。
「かしこまりました、カレン様。」
ぱあっと、明るく笑って、
半歩後ろを付いてくる姿は、
私には、敵わないと、
酷く残酷に、知らせる。
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