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再会の歌

第12章 ライブと真実

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「新、あのねっ…」


「うん」


「あたしは春くんに……ハルに伝えたい気持ちがあるから…だからっ、」





「初輝、ありがとう」


「え……?」



「いいから。早く春のとこ、行きな」


「う、うん」





新は今までに無いくらい辛そうな、間違えば泣き顔になりそうな顔で「ありがとう」と言った。


それでも、最後は笑顔で送り出そうとしてくれる新が健気で…





あたしは精一杯の気持ちを込めて新にキスをした。



「行ってきます」






後ろを向いて走り出したあたしの背中に掛かった「いってらしゃい」の声は、恥ずかしくて、聞こえない振りをした。


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