LAST SMILE
第9章 胸騒ぎ
*
「麗華。もういいよ」
亜貴が、病室の中からあたしを呼んだ。
何時間、廊下で待ってたんだろう・・・。
あたしはゆっくりと顔を上げて、
ふらふらと病室の中まで歩いた。
「俺、先生と話してくるから、
麗華はここで待ってろな?」
「うん・・・」
亜貴が病室を出て、
あたしは祐兎のそばまで歩いた。
祐兎はベッドの上で、目を閉じていた。
ピッピッ―と、
難しそうな機械が祐兎を囲んでいた。
この画面に映るのは、
今の祐兎の心拍数とか、なんだろうか。
あたしは祐兎の顔をじっと見つめた。
よかった。
助かったんだね。
なんとも、なかったんだ。
良かった。
ほんとに。
「祐兎・・・」
「・・・なんだよ」
「え・・・?」
低い声が聞こえて、
あたしはぱっと顔を上げた。
寝ていたはずの祐兎が目を開けて、
だるそうにあたしを見つめていた。
「え・・・。大丈夫なの?」
祐兎は上半身を起こして鼻で笑う。
「別に・・・。なんともねぇよ。こんなん。
・・・お前、なんつう顔してんの?
ただの腹イタだっていって・・・」
「嘘!!」
しんと、静まり返る。
あたしが怒鳴ったから。
あたしが、立ち上がって、叫んだから。