LAST SMILE
第13章 お願いごと
*
いつもの練習で、
曲の途中、祐兎がいきなり曲をとめた。
「ちょっと待て。おい、麗華」
「あたし・・・?」
とめられた原因はあたしらしい。
あたしはびっくりして祐兎を見た。
「お前、何でそんなボケーッとしてんの?
何かあった?」
「え?何もないけど・・・」
「じゃあ、なんでそんな適当なんだよ」
祐兎が、怒ってる。
みんなを見ると、
みんなもそう感じているのか、
視線を逸らして俯いている。
亜貴は、
眉間にしわを寄せて祐兎を見つめていた。
何?
適当?
あたし、
適当になんかやってないけど・・・。
「適当って・・・っ
ちゃんと真面目にやってる!」
「気持ちが入ってねぇんだよ。
前までみてぇに歌えって」
「いつも通りだよ」
「はぁ?お前、気付いてねぇの?
いっとくけど、今のお前、
かなり下手くそだぞ?」
“下手”。
その言葉を言われたとき、
あたしの周りから音が消えた。
何も聞こえなくなって、
ただ、その言葉だけがあたしの耳の奥をつつく。
下手・・・。
「モッチー、やめろ」
亜貴の声が聞こえる。
「そんなんじゃ、マイク持つ資格ねぇよ」
「モッチー」
「おい、真剣にやれよ。麗華!!」
「祐兎!!!」