LAST SMILE
第20章 LAST SMILE
精一杯、笑いました。
涙を拭いて、
涙を堪えて、笑いました。
そのときだったの。
あなたの姿がみえたのは・・・。
「祐・・・兎・・・?」
あたしがそっと呟くと、
みんなは驚きの声をあげた。
急にざわつき始めて、
あたしはそんな騒々しさを忘れるくらい、
目の前の彼を見つめた。
どうして?
彼はもう、いないのに・・・。
祐兎は確かに、
あたしの目の前に立っていた。
<なんだよ・・・>
祐兎の声が聞こえた。
聞こえた気がした。
祐兎だ・・。
祐兎がきてくれた。
届いたんだね。
あたしの声が。
またあなたはあたしのことを、
見つけてくれたんだね。
<ん。その顔だよ。麗華>
祐兎はそういって、
あたしの頭に手を置いた。
亜貴とは違う、祐兎の手の感触。
少しがさつで、
だけど優しい、力強い手。
祐兎は驚いて目を見開くあたしの唇に、
そっと自分の唇を重ねた。
これで、3度目のキス。
3度目のキスは、
どうしようもなく切なくて、
涙が出そうになるのを我慢して、
あたしは笑った。
そうじゃないと、
消えてしまいそうだったから。
そのときだった。
<そうやって、ずっと笑ってろよ?約束だからな>