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LAST SMILE

第5章 リストバンド







「それ、そのリストバンド、俺のなんだけどさ、
 つけてたんだな。ほら、こっちがお前の」


あたしは自分の左手首についている
黒いリストバンドを見た。


これ、亜貴のだったんだ・・・。



「あ・・・りがと」


あたしは亜貴から自分のを受け取って、
それを手に付ける。


亜貴はあたしから受け取って、
それを自分の右手首につけた。


「それ、モッチーがふざけて
 とっちゃってからお前がパニくったから、
 自分のせいだって・・・。

 あいつ、普段は自己中なんだけどさ、
 変に責任感じてたんだよ」




そうなの・・・?


確かに、だからあの時は静かで、
からかいもなくなって、


ついついあたしをからかってしまったとき、
それを隠すようにどこかに消えたんだ。



じゃあ、最近冷たいのも・・・?




「あいつ、素直じゃないから、
 謝りたくてもどうしていいかわかんねぇんだよ」


「・・・そうなんだ」


「今、あいつ、B23の部屋にいるはずだから、
 いってやれよ」



「ええ!?なんであたしが・・・」



「お前がいけば、謝ってくる気がするから?」



亜貴はそういって立ち上がると、
あたしの頭に手をのせた。



「頑張れ。麗華」



「・・・亜貴がそういうなら・・・。
 まぁ、いってやろうかな」



あたしがそう言うと、亜貴は苦笑した。


まったく、しょうがないから、亜貴のその顔に免じて
あんたに会いに行ってやるわよ!!



あたしも立ち上がって、
亜貴に教えてもらった部屋の前に移動した。




ここか・・・。
B23。




他の部屋となんだか雰囲気が違う。



あたしはさっき返してもらったリストバンドを握りしめて、
ノックをしないで中に入った。



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