LAST SMILE
第7章 お兄ちゃん
歌っている亜貴に合わせて歌おうとする。
その途端、いきなりむせ始めた。
「モッチー!!」
亜貴が歌うのを止めて咳き込む祐兎に近寄った。
「ばか。
医者から止められてるくせになんで・・・!!」
「うっせ・・・っ。
いーんだよ。気まぐれだから」
あたしはその光景をじっと見つめていた。
祐兎、歌いたいんだね。
だから、体が勝手に動いたんだ。
そんなふうに苦しむのが分ってて、
それでも歌いたくて・・・。
あたしは息を飲んで大きく深呼吸した。
「ねぇ、カラオケ、飽きたからさ、
ボーリングでもいかない?」
「「「「は?」」」」
みんなが唖然とする。
そこで磯辺くんが口を開いた。
「えー。飽きたって・・・。
REIも段々俺らのペースになれてきたねー。
超リラックスしてんじゃん」
「え?あ、はは。そうかな~」
あたしが苦笑いして適当に返すと、
亜貴が苦笑してあたしをみた。
「まぁー。いいんじゃん?
うし。行くか?ボーリング」
亜貴の言葉に、
祐兎が静かに笑って立ち上がった。
「面白ぇ。負かしてやるかんな」
「何言ってんの!?
あたし、強いからねー??」
こうしてあたしたちは
みんなでボーリングをすることになった。
咄嗟に提案したけど、
みんなの不穏な空気がなくなってよかった。
だけど、あんなふうに啖呵きったはいいものの、
あたしはボーリングなんてほとんど経験がなくて、
ガターばっかりで、
祐兎に馬鹿にされたのは言うまでもない。