I'll be with you.
第22章 役目
朝が苦手なカナは、一言も話すことなく朝食をもぐもぐと食べている。
たったそれだけのことなのに、懐かしいって思ってしまう私……
最近ずっと家にいないカナが家にいることはそれほど珍しいことだった。
『カナ、今日も亜美ちゃんのところに行くの?』
「うん」
『今日は…?』
「……また、しばらく帰ってこないかも」
退院してから日は経つけど、あまり無理はしてほしくないのが本心なんだけどなぁ…
大学でカナに会うくらいで他は滅多に会えなくなってしまった私達はお互いの事情を把握しきれていなくて…
前のようにみんなで集まってご飯を食べることはなくなっていた。
カナと話していても、前のように騒いだりはせず光輝君の冗談にもただ笑っているだけだった。
いつもと違うカナを私達はどうする事もできずに、
ただ、見ていることしかできないでいる。
「一人にしてごめんな」
不意に言われた言葉
いつも、みんなに言う言葉
たまには、
カナの綺麗な笑顔で
ありがとう!
って……
言われたいなぁ…
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