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君の瞳に映るもの

第3章 戸惑い

 整えられた部屋に独り取り残されたとわかった時、どうしようもない怒りで頭も混乱していたのに、予想しないところで零一がひょっこり姿を現し、反応に困る。

 本来なら、酷い言葉で罵って然るべきなのに、裸のままじゃ締まらないと思うと動くこともできない。

 それに、私が抵抗しないか様子を伺っているのか、零一は腕の力をまだ緩めずにいる。

「……何処、行ってたの」

 渇ききった喉から出た声は掠れていて、うまく出せなかった。

「あぁ、買い物。冷蔵庫ん中、何もなかったから、買ってきた」

 買い物? まだ居座る気なの?

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