テキストサイズ

うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第15章 6月9日〈2回目の誕生日特別編〉

ドキッ…

むぅの心臓は、忙しく高鳴るけれど、

「……何?」

平然を装った声に、蘭は拗ねたように唇を突き出した。


「もっとさぁ…」

「何だよ?」

「……嫉妬に狂って欲しい」


訪れた沈黙。

そして、

「はぁ⁉︎ 嫉妬?狂う⁉︎ 」

お腹を抱えて笑い出すむぅ。


「もー!むぅのバカ!」

ポカポカとむぅの背中を叩く蘭に、余計に笑えてくる。


その大学生がどれだけ大人なイケメンだとしても…

蘭の母親と深雪の母親が同じ部屋にいて、

蘭の気持ちはここにある。


(嫉妬とか…ダサいことしなくても良さそうじゃん)

ニヤけて緩む口元を引き締めて、

「む、むぅ⁉︎ 」

蘭を振り返ったむぅが、蘭の両手を掴まえる。


グッと引き寄せられたむぅの胸に、蘭は真っ赤に染まる顔を押し付けて隠す。

ドキドキと、早鐘を打つのは…

「むぅ…ドキドキしてる……」

自分だけじゃなくて、むぅも同じで…

「……っ……」

慌てたむぅに引き剥がされた蘭の身体。

驚いて見上げたむぅの顔は、

「りんごみたい…」

お互い、負けないくらい真っ赤に染まっていて…


「蘭……」

小さく名前を呼ばれ、返事をする暇もなく重ねられる唇。

まだ慣れないキスに、顔を俯かせる蘭に、

「明日……」

言いかけたむぅ。

遮るように、

「うん!明日こそ!あの問題を解いてみせるよ!」

半分パニックの蘭は早口に捲し立てる。


「……ふーん、頑張れよ」

ポンポン…むぅの手が、蘭の頭を優しく叩いて…

顔を上げた蘭のその唇と、

少し余裕の笑みを浮かべるむぅの唇が、

また、重なった。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ