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うちのむぅがドSなのか口が悪いのか微妙な件ww

第16章 ストロベリームーン

「むぅ!お誕生日おめでとう♡」

「サンキュー……ってまたヒドイ落書きだな」

毎年恒例の蘭からのプレゼント。

手作りクッキーは上達したものの、チョコペンのお絵描きは一向に上達の気配がない。

それでも、口元を緩ませ嬉しそうにクッキーを頬張るむぅを見つめるこの瞬間が好きだと、蘭の顔もニヤける。


「何?ゴチソウサマデシタ。オイシカッタデス。これで満足?」

「もっと感情込めてくれなきゃ満足出来ません!」

幼馴染の延長のようなお付き合い。子供染みた2人。

唇を突き出して拗ねる蘭と、斜め上に天井を見上げてため息を零すむぅ。


だけどすぐに笑い合って、磁石のように引き寄せられて寄り添う。

「子供だなー、むぅは」

クスクス笑う蘭の頰に、

チュッ

むぅの唇が触れる。


「ふっ、不意打ち!やめてよ!」

驚いて顔を上げ、怒る蘭は茹で蛸のように顔を赤くしていて、むぅは益々口端を上げる。


「不意打ちがダメなら……」

「ひっ⁉︎ む、むぅ⁉︎ 」

顎を掬い上げられ、間近に迫ってくる整った顔に、蘭は蒸気を吹き出しそうなくらい真っ赤になって瞳を泳がせる。


「蘭、キス、していい?」

も、もう唇が触れちゃいそうだよ〜!

心の中でそう叫んで、蘭はギュッと瞳を閉じた。


「蘭、不意打ちはダメなんだろ?ちゃんと言って?」

むぅの息が唇に掛かる。

蘭はもうすっかりその気なのに、待てども唇が重ならない。


「蘭?」

「いいいい意地悪っ!そんな恥ずかしいこと、言えない!」

「やだ、聞きたい。すげー可愛く ”むぅ、キスして” っておねだりして?」

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