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冴えかえりつつ 恋

第9章 岡田家の団欒

幼馴染の近藤彬史の情報によると、
中学3年の上出と2年の遥暉は水泳部だった時、

遥暉はフリー100m3位、
3年生に混じって参加したリレーチームは2位。
上出は個人メドレー400m1位,200m2位,リレーと表彰台に上り、
上出個人は全国大会までコマを進めたそうだ。


当時の水泳関係者の間では、成績もさることながら
丸山の綺麗なルックスと上出の均整のとれたスタイルと力強いフォームに
「人魚姫とポセイドン」とあだ名がついたそうだ。

しかし翌年ハルキも上出も水泳界から姿を消したということだ。



「‘人魚姫’と‘ポセイドン’。すごいネーミングセンスだな。」


真顔で説明した慶矩だったが、泰弘は思わず吹き出して笑ってしまった。


――人魚姫か。丸山君を初めて見た時に感じた水のイメージは間違いじゃなかったんだ。


童話では、陸に上がって痛む足と思いを言葉にすることも許されないで、いとしい人を思って最後泡になって消えてしまう。

もし、陸の上の王子ではなくポセイドン(海王)ならば、違うストーリーが展開したはずだろうな。


願わくば、ハッピーエンドであってほしい。





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