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嘘でもいいから

第15章 嘘でもいいから

その時
いつの間にか後ろに回っていた
想さんの腕が伸びてきて…
私の身体を後ろから強く抱きしめた。


「優花…そのまま聞いてくれ。
…お前があのことを知った時
俺のことを軽蔑しただろうな…
俺には記憶があった。
それに結果的にお前を騙したんだ。
だから悪いのは全て俺だ…」


一日中我慢していた涙が
ついに溢れ出し
私はブンブンと首を振った。


軽蔑なんか…してない。
だってまだこんなにも好きで…
帰りたくなくて…


「いいんだ。軽蔑してくれ…
俺と違ってお前は何も知らなかった。
だからお前は何も悪くないんだよ。
でも…今からは違う」


耳もとで囁く想さんの声に
懐かしい甘い色が混じり…
甘苦しい予感に
私は胸が締め付けられた。

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