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恋してキスして抱きしめて

第8章 だから、俺も予想外なんだって

「ホテルだろ」



そう言ってウイスキーを煽ると、細い手が俺の太ももの上にくる。



「明日ね、隣りのテレビ局で早朝から撮影があるのよ。
だから今夜はここに泊まるの」

「じゃ、早く戻って寝た方がいいな。
寝不足はお肌に悪いだろ」

「それ、私が仕事上でモデルに言うセリフよ。
私はメイクする方なんだからいいの」



大胆だねぇ。


カウンターの下で這わせた手が、既に足の付け根にまで伸びてきた。


俺がどんな反応をするか、肩に顎を乗せてじっと見つめてくる。



「スミレさん、手が悪戯してるよ」

「……一緒に添い寝して?」

「添い寝だけでいいんだ~」

「そんなわけないでしょ、イジワル」



スーツのチャックに指がかかったタイミングで、俺はバーテンダーに向けて手を挙げた。


振り返った彼を見て、スミレはパッと頭を起こす。

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