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恋してキスして抱きしめて

第3章 つまり、脅しじゃねーか!

「浜崎くん、実はね」



ゴホンと咳払いをして、部長は低い声で続けた。



「………常務の朝倉(あさくら)さんが、君を呼んでいる」

「…………!!?」



………部長が来てから変わった空気が、今度はピシッと音を立てて凍る。



「じょ、じょ、常務って……」

「常務取締役の、朝倉さんだ」



2回言われた!


夢じゃねぇ!!


どんな事態になっても、営業で鍛えられたハートが揺らぐことは無いが


今回ばかりは、隕石が落下したかのような衝撃が全身を貫く。



「何で呼ばれたかは、私にも教えてもらえなくてね。
とにかく、君の都合のいい時に常務の部屋に来るようにと」



部長はそう言うと深い溜息をついた。


微動だにしない周りの同僚達から、憐れみの視線を送られる。


俺の左手をぎゅうっと握っている10コ年上の主任に、救いの目を向けると



「だ、だめなんだよユーリ。
お前1人で来るようにと、常務の命令だ」

「…………!」

「骨は拾ってやるから!
“ 立派な戦士でした ” って、墓石に掘ってあげる!」

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