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恋してキスして抱きしめて

第19章 本当の、サヨナラ

千夏は声を震わせながら、ぽつりぽつりと続ける。



「キ……キラキラしたものや……甘いものを見てくれたら……

少しは、元気になって……くれるかなって……」


「…………!」


「痛みは、感じなくても

理由が分からないけど、きっと、辛い気持ちを抱えていると思うから……

楽しいとか、嬉しいとか

ちょっとでも、思ってくれたらいいなって………」




最後の方は、声が掠れてしまって


千夏はまた目を瞑って、下を向いてしまった。


その、閉じた瞳から


一筋の、滴が零れる。




「………ちーちゃん

どうして泣くの………?」




半ば放心しながら、俺がそう聞いたことで


我慢していたものを全て吐き出すように


千夏の目から、ボロボロと涙が流れ落ちた。


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