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恋してキスして抱きしめて

第20章 ただ、想うだけで

ウイスキーを一口飲んで、お兄ちゃんはあたしを見上げた。



「高校の時に、チャラチャラしていたユーリが
唯一貫いていたモットー、教えてやろうか」

「…………?」



……モットー?


あたしが首を捻ると、お兄ちゃんはニッと笑う。



「 “ 人のもんには、手を出さない ” 」

「…………!」

「朱莉は人妻だ。
その時点で、ユーリの恋愛対象にはならねぇよ」



………朱莉さんの左の薬指には、指輪が光ってた。


正しい恋愛は、そうかもしれないけど


でも、そんな事も気にしなくなってしまうくらい


人を好きになること、きっとあるんじゃないかな……



「………そんなの、分からないよ。
朱莉さんは、きっと特別だもの」



あたしが低い声でそう言うと、お兄ちゃんは溜息を漏らした。

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