
恋してキスして抱きしめて
第23章 もう一度、あの場所から
“ 悪い悪い。
こんな可愛いとは思わなかったら、ついガン見しちまった ”
“ 俺、この大学のOBなんだ。
んでもって、夏輝は高校から一緒のオトモダチ ”
「……千夏ちゃん……!?」
後ろから、ヒカルさんの声が聞こえた時には
あたしは精一杯の力で、周りを押し退けながら走り出していた。
“ じゃあ、俺はちーちゃんって呼ぶわ♪ ”
………あの時
銀杏の木の下、大好きな小説に集中していたから
彼がすぐ近くに来ていたことに、最初は気付かなかった。
8つも歳が離れてるなんて、信じられなくて
あたしを見つめるその瞳は、どこまでも澄んでいて
男の人なのに、大きくてキラキラしてて
………もしかしたら
初めて出逢ったあの場所で
初めて彼を見たあの瞬間から
あたしは、ユーリさんに恋をしていたのかもしれない。
