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ずっと君を愛してる

第4章 終わってなんかいない

広いスペースがいくつかの部屋に区切られてそれぞれにたくさんの写真が展示されていた。

最初は、おびただしい数の、笑顔。
静流は笑顔を引き出すのがとても上手い。公園で、街で、一緒に写真を撮っていてもすぐに打ち解ける。
そういうことが苦手だから、ぼくの被写体は風景や物なんだけど。
南米のどこかだろうか?カラフルな民族衣装に身を包んだ人びと。

この場所で笑いながら、何かを言いながらシャッターを切る静流の声が想像できる。少し鼻にかかった声。それは彼女の慢性鼻炎に由来するのだけれど。
日常を切り取った写真や、訪れた先々の風景が続く。昔より、撮り手の視点が上がったような気がする。

次のテーマは、キス。

恋人同士のキス、親子のキス、年月を重ねた夫婦のキス…
ぼくはふと静流とのキスを思った。

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