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あれから数週間がたった。
誰かと共に夜を過ごさなければ、好きな男を喪失した悲しみに耐えることは、弱いあたしには到底できない。
それは自分でわかっていた。
でも、耐えなければならない。一人で。
出血が止まった頃を見計らってか、数日経つとマサキからひっきりなしに電話やメールが来た。それからはほぼ毎日来る連絡に、あたしは最初のうちは見て見ぬふりをした。
あたしは卑怯な女だ。
マサキは心と体であたしを求めている。
体から始まる恋もあるだろう。
でも、自分には他に好きな男がいて、心から応じることはできない。
そんなことを考える度に、心の傷は癒えるどころか拡がり、化膿し始めた。気がつけば自分から誘っていた。
本当にあたしは卑怯者だ。結局、あたしはマサキを求めてしまった。相手のことより、自分の心を埋めることを優先させてしまった。
自分からあんな風に言って傷つけたにも関わらず、マサキに申し訳ないとは思いながらも、あたしはマサキから完全に離れることはできなかったのだ。
マサキはあたしを抱く度に、しばしば狂気を感じるほどにあたしを喰らい尽くした。たぶん、自分に振り向かない怒りと憎しみが混ざっているのだとわかった。
でも、あたしはマサキとの関係を無くすわけにもいかずマサキにされるがままだった。しかし、マサキの乱暴に絶え間なく続く行為は、あたしの体を徐々に疲弊させていった。
体も不調を訴えることが多くなり、仕事を休まずを得ないことも何回かあった。少しずつマサキと会う回数を減らしていったが、逆に心は満たされることなく、あたしは休みの日にもなるともう昼も夜もなく男漁りに耽り、荒淫を続けていた。
このときになると、昼間の仕事もどんどんハードになっていき、責任も増え体は疲れ果て、正しい判断が出来なくなってきていたのかもしれない。
仕事以外はただ自分の体が求めるままに行動していた。
それでも、いつもあたしは孤独だった。
いくら誰かに抱かれても、あたしはいつも独りだった。