
優しいキスをして
第5章 闇の向こうの光
マサキは耐えるような顔をして、静かに言った。
「…………美優。騙していてごめん。俺は……マサキなんて名前じゃない。百夜だ。お前から逃げてた百夜なんだよ…………」
信じられない…………。
あたしのマサキの服を掴んでいた両腕から力が抜けた。
そんな、はずは……っ。
マサキが、…………百夜?
「……ウソ、でしょ?だって服のセンスだって違うし、背だって……」
マサキは自嘲するように笑った。
「これがありのままの俺だ。身長なんて靴でどうにでもなるだろ?」
あたしの目には知らぬ間に涙が滲んでいた。
「なんで!?……なんで、黙ってたの?」
ふいに、百夜があたしの片方の頬に触れた。
せつなげな表情だった。
「お前がこんなになったのは俺のせいだな……。悪かった。ちゃんと、……お前には話すべきだった……」
「いいの……教えてっ。なんで、あの時正体を隠したの?」
百夜はあたしの頬から手を離すと遠い目をして言った。
「あの夜は、偶然だった。まさかお前だとは思わなかった……。少しあのときよりも痩せてたし、何より……雰囲気が、変わってたから」
あたしは唇を噛んだ。
百夜からしてみれば、再会したときのあたしは確かに別人に見えてもおかしくなかったのかもしれない。
そのぐらい、あたしの毎日は変わっていたのだから。
あたしは胸の内にいつもあった疑問を百夜にぶつけた。
なんで……、あの時……っ。
「なんで、……理由も言わずに別れたの?あたし、……重かった?遊びだったの?それとも…………」
「むしろ、お前のことは本気だった……」
「…………っ」
百夜はやるせない顔であたしを真っ直ぐ見て言った。
あたしは息をするのも忘れるように、ただ百夜を見つめた。目の前で起きていることか現実ではないかのよう…………。
百夜はあたしから目を背けて続けた。
「だからこそ……、俺にはお前は抱けなかった。お前は純粋過ぎて。きれいで、俺なんかで汚してはいけないと思った。あのときの俺なんかじゃ、お前にふさわしくない」
あたしは両手で涙を拭った。
「本気なら、なんで……?……あたしは、あんたに……っ」
あたしは嗚咽でそれ以上喋ることができなかった。
百夜は顔を背けたまま。よく見ると、百夜の体は震えていた。
「あの時の俺は、男妾まがいなことをしてたから……」
「……えっ?」
あたしは驚きを隠せなかった。
百夜が、…………男妾?
「…………美優。騙していてごめん。俺は……マサキなんて名前じゃない。百夜だ。お前から逃げてた百夜なんだよ…………」
信じられない…………。
あたしのマサキの服を掴んでいた両腕から力が抜けた。
そんな、はずは……っ。
マサキが、…………百夜?
「……ウソ、でしょ?だって服のセンスだって違うし、背だって……」
マサキは自嘲するように笑った。
「これがありのままの俺だ。身長なんて靴でどうにでもなるだろ?」
あたしの目には知らぬ間に涙が滲んでいた。
「なんで!?……なんで、黙ってたの?」
ふいに、百夜があたしの片方の頬に触れた。
せつなげな表情だった。
「お前がこんなになったのは俺のせいだな……。悪かった。ちゃんと、……お前には話すべきだった……」
「いいの……教えてっ。なんで、あの時正体を隠したの?」
百夜はあたしの頬から手を離すと遠い目をして言った。
「あの夜は、偶然だった。まさかお前だとは思わなかった……。少しあのときよりも痩せてたし、何より……雰囲気が、変わってたから」
あたしは唇を噛んだ。
百夜からしてみれば、再会したときのあたしは確かに別人に見えてもおかしくなかったのかもしれない。
そのぐらい、あたしの毎日は変わっていたのだから。
あたしは胸の内にいつもあった疑問を百夜にぶつけた。
なんで……、あの時……っ。
「なんで、……理由も言わずに別れたの?あたし、……重かった?遊びだったの?それとも…………」
「むしろ、お前のことは本気だった……」
「…………っ」
百夜はやるせない顔であたしを真っ直ぐ見て言った。
あたしは息をするのも忘れるように、ただ百夜を見つめた。目の前で起きていることか現実ではないかのよう…………。
百夜はあたしから目を背けて続けた。
「だからこそ……、俺にはお前は抱けなかった。お前は純粋過ぎて。きれいで、俺なんかで汚してはいけないと思った。あのときの俺なんかじゃ、お前にふさわしくない」
あたしは両手で涙を拭った。
「本気なら、なんで……?……あたしは、あんたに……っ」
あたしは嗚咽でそれ以上喋ることができなかった。
百夜は顔を背けたまま。よく見ると、百夜の体は震えていた。
「あの時の俺は、男妾まがいなことをしてたから……」
「……えっ?」
あたしは驚きを隠せなかった。
百夜が、…………男妾?
