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曖昧☆Bboys

第59章 父になる

「確か、妊娠って十月十日...」


「そうだな...」


彰吾は指を折って数えた。


「やべっ!春過ぎたら産まれる?!」


「アルバム仕上げないと日本には帰れないぞ」


俺は何にも知らない彰吾に軽く嫉妬し、追い討ちをかけた。


「なんなら、ギターは差し替えで、楽曲作りに専念するか?」


「差し替え?」


「ああ、プロに弾かせればレコーディングもスムーズだし、同時進行できる」


これは業界ではコスト削減の為よくあることだ。


「冗談じゃない!自分のファーストアルバムを差し替えなんてギタリストの屈辱だっ!」


「じゃあ、どうする?」


「やります!
どっちも俺がやってみせます!
子供が産まれる前に絶対日本に帰ってみせます!」


彰吾の目に力が戻ってきた。








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