
衝動
第5章 〜それからのお話〜
それから、私は彼と話すのが習慣となっていた。
すれ違ったり、空き地で会ったときなどは、必ず彼と話をした。
『栞ちゃんは大人っぽいよね』
多分、外見のことではないのだろう。身長も顔も、普通に小学生だと思う。
「そうですか?」
『うん…こうやって栞ちゃんと話すの、普通に楽しいし…なんていうのかな…小学生らしくない…っていうか…』
説明になっていないけれど、なんとなくわかったような気がした。言いたいことがわかっただけで、自分が大人っぽいというのはいまいちよくわからないけど。
『敬語じゃなくていいよ?』
歳上にタメ口はあまりにもハードルが高すぎる。私には不可能だと感じた。
「敬語でもいいのですよね?」
彼は不思議そうな顔した。
『変わった子だね〜』
「む……」
笑われたので少し頬を膨らませた。
私が中学生くらいになると、2人で何処かへ出かけることもあった。別に、付き合っているとかそういうわけではなかったけれど。
2人の習慣は、私が中学校を卒業するまで続いた。
