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最後の恋は甘めの味で

第9章 相合傘

気付けば既に目の前に駅があった。


あとは、ホームに行くまでに少し濡れればいいだけのこと。


だけど、私は動かないでいる。


上條くんの次の言葉を聞くために。


「.........正直、分かりません」

「.......」

「これが、なんなのか。全く分からない。でも、確かなのは暁さんの存在が俺の中で”興味の対象”ではなくなっていることです」


まっすぐ私を見詰める。



また、その目......



私は捕らえられて動けなくなる。


「暁さん、俺、きっと、上司と部下には戻れない」


その言葉を最後に、上條くんの唇が私の唇に触れる。


本当にただ触れるだけの口付け。

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