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特別刑務所(仮)

第21章 佐野。

「はー!びっくりしたー」
「大丈夫か?まったく」
「大丈夫です・・・で、何?」

あー、と言って九条は俺の頭を撫でる。

「瑠依、あのさ・・・
いや、やっぱりいい。飯食べちゃいな。」

何かを考えるような仕草をとり話すのを止めてしまった。
なんの話だったんだろう?
気になりはしたものの、朝食をとり学校の支度をする。



「いってきまーす!」
「・・・ああ。」
「え?」

いつもならやるとしてもせいぜい頭撫でる程度なのに今日はぎゅっと、それもいつもよりも強く抱き締める。

「九条?」
「ふー。いってらっしゃい。」


話して、くれないの?
なんで、そんな辛そうなのに一人で抱え込むの?
俺じゃあ頼りないのかな?


「九条、あのさ、俺頼りないかもしれないけど一緒に考えられるよ?話してみたら楽になるかもよ?」
「・・・瑠依。」

九条はそっとまた近づくと直ぐにわかるとだけ耳打ちし、早くしないとみんな待たせるよと、言って玄関を開けた。

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